ATerコラム

2026.05.29

AI・DX M365 IT

Power BIで製造現場のKPIを可視化する——中小企業が最初に作るべきダッシュボードの設計

製造現場のKPI可視化は、改善活動の基盤として重要な役割を果たします。Power BIは中小企業にとっても導入しやすい選択肢ですが、最初に作るべきダッシュボードの設計を誤ると、現場で見られないまま放置されてしまいます。本稿では、その設計の考え方を整理します。

KPI可視化の目的を明確にする

ダッシュボード設計の出発点は、誰が、何を判断するためにそのKPIを見るのかを明確にすることです。経営層、現場管理者、現場作業者では、必要な粒度も頻度も異なります。すべての階層に対応しようとすると、結局誰にも見られないダッシュボードになってしまいます。

最初の一枚は、利用シーンと利用者を絞り、判断につながるKPIに限定して設計することが現実的です。

最初に作るべきダッシュボードの要素

中小製造業が最初に作るべきダッシュボードの典型的な要素は、以下の通りです。

第一に、生産実績と計画の対比です。日次・週次の生産量、計画達成率を視覚的に表示することで、進捗の把握が容易になります。

第二に、品質指標です。不良率、再加工率、クレーム件数などの推移を表示することで、品質改善活動の効果が見えやすくなります。

第三に、稼働率と停止要因の内訳です。設備の稼働状態と停止理由を可視化することで、改善の対象が特定しやすくなります。

第四に、現場で行動につながるアラート要素です。基準値を超えた場合の色分け表示など、見ただけで対応の要否が分かる設計が有効です。

設計上の留意点

ダッシュボード設計の留意点として、まずデータソースの安定性が挙げられます。元データの精度や更新頻度が不安定だと、ダッシュボードへの信頼が損なわれます。データ取得経路の整備が、可視化の前提となります。

また、視覚的なシンプルさも重要です。グラフ要素や色を多用しすぎると、視線が分散し、判断材料として機能しません。必要最小限の情報を、明確に表示する姿勢が成果を生みます。

運用と継続改善

ダッシュボードは、一度作って完成するものではありません。利用者の声を取り入れ、判断に役立たない要素を削り、新たな要素を加えるサイクルが、活用度を高めます。

まとめ

Power BIによるKPI可視化は、製造現場の改善活動を支える有効な手段です。最初の一枚を丁寧に設計することが、長期的な活用の基盤を作ります。弊社では、現場・現物・現実に立脚し、お客様の業務に共感しながら、持続可能なKAIZENを支える可視化設計をご支援しています。