ATコラム

2025.01.09

FA

H鋼はなぜH型をしているか

ビルなどの大型構造物の梁(はり)でよく使われるH鋼。その断面がH字をしているため、そう呼ばれます。今回はH鋼がなぜHの形をしているのか、考察してみたいと思います。これには、昨日解説した断面時にモーメントが関係しています。H鋼はHの向きで使われる事はなく、工の向きで使用されます。その方が断面二次モーメントが高くなり、上からの荷重に対してたわみにくくなるからです。工の字の中心を通る水平軸が中立軸となりますが、その中立軸から離れた所に断面積があるほど、断面二次モーメントが高くなります。具体的には、工の字の内、二の字の部分が中立軸から最も離れていて、断面二次モーメントを稼いでいる訳です。こう考えるとHの向きよりも工の向きの方が、断面がより中立軸から離れていて断面二次モーメントが高い事がお分かり頂けると思います。Iの字なら更に断面二次モーメントが高くなりますが、こうなると梁の横向きの剛性がほとんど無くなってしまいます。そうすると、H鋼(工鋼)が、材料の剛性を失わない範囲で、断面二次モーメントが最も高くなる理想的な断面形状をしている訳です。